あるクラリオン星人のと対話


by bwv1001
 なかなか面白い話だったので、再現、というか、ほとんどライヴになると思うが、書き出してみる。

 「きょうの作品はどうだった?」

 『ヤマト、というアニメーションね。私は時空を超えた存在だから、この作品は、他の星の人に対するイメージが極端な感じがするわ』

 「それをもうちょっと教えて欲しいんだけど」

 『そうね。ガミラスという星と、イスカンダルという星。あの描き方は、私たちの様な存在に対する偏見の様なものかしら。ちょっと極端というか、実情というより、"あなたたち自身"があそこに描かれているという感じがするの』

 「自分を描く、ということは、ある意味で、人間にとっては、特別な行為である訳だけれど、君が言っているのは、そういう意味ではなさそうだね」

 『そう。でも、あなたはよく分かっている様だけれど、別な何かを表現しようとすると、そこに、自分があらわれてしまう、ということね』

 「そのことを、等価、とか、等価値と呼ぶ人もいるよ」

 『でも、今回観たヤマトという作品は、途中から観た限りでだけれども、等価、という考え方、あるいは、感じ方を積極的に使った、という風には見えないわ。そうでなくて、自然と、あなたたち人間というものが、どういうものであるか、が、表現できてしまっている、というものだと思うわ』

 「意図して描いたことではない面に、君は注目したということ?」

 『それは、分からないけれど、確かなことはあるわ。それは、あなたたち人間には、"同一化"という心の動きが原動力となって生きているという側面があるのではないのかしら?』

 「宇宙戦艦ヤマトでいうと、それはどんなところに感じられるの?」

 『すべてよ。あなたたちは、すべての感じ方の原点に同一化、という動きがあると思うわ。逆に、同一化できないと、敵視したり、排除したりしてしまう、という心の動きがあるのではないかしら。それは、私たちとは、在り方が少し違うと思うわ』

 「同一化できるかできないか、という心の動きによって、他者との関わり方が決まってしまう、という意味でいいのかな?」

 『だいたい、それでいいわ。けれど、その先に行くと、あなたたちがまだよく分かっていないことがあるわ。それが、あなたも困っている"愛"という概念だわ』

 「結局その話に行き着いてしまう?」

 『そうね。それが今のところのあなたたちの限界ということかしら。

 作品の中では、自分たちが生き残るために、ガミラスという星を滅ぼしてしまう、という話があったわね。ちょっと乱暴だったけれど...』

 「設定的にも無理があるけれど、一つの星を、たった一つの船が滅ぼしてしまうなんて」

 『いまのあなた、面白いわ。あなたたちが、他者を滅ぼす力など持っていない、という認識があるのね。でも、私たちの様な存在が、ガミラス的に振る舞ったら、自分が滅ぼされる、と思ってしまう訳ね』

 「え、面白いって、どういう風に?」

 『つまり、あなたたちが加害者になる、という意識は、あまり持っていないのね。あなたの星の中では、あなたたちは、充分に加害者と呼べると思うわ』

 「それは、他の生き物さんや、この地球という生き物さんに対して、という意味でかな」

 『あなたたちは、そのことに自覚、あるいは、そう教え込まれているだけかもしれないけれど、意識はしているわ。でも、足下のアリさんのことなど、普段考えないでしょう?』

 「そうだね。自分たちが被害者である、という意識を持ったときに、もう何だか分からなくなって、暴力をまき散らす、っていう精神構造を持っているところがあるんじゃないかと思うんだ」

 『被害者意識に注目するのは着眼点としてはいいと思うわ。ただ、ここで聴きたいとしたら、その場合、あなたはどうするか、ということよ。

 つまり、何らかの意味で被害者の立場にいる場合、あなたは、いつまで、暴力を封印しておけるか、ということよ。それは、人類、というより、まずあなたに聴いてみたいわ』

 「とても基本的な問題だけど、オレ自身は、実はそこは答えが出ていないんだ。きょうは、主役の一人である古代進が、そのガミラスを滅ぼしてしまって、俺たちは戦ってしまった、って嘆く場面あったよね」

 『おぼえているわ。そして、そのコダイ・ススムは、俺たちがするべきだったのは、愛し合うことだったんだ、と言っていたわね』

 「答えをはぐらかしているのかもしれないけど、被害者としての段階があって、それが加害者になって、そして、その時点で自己嫌悪に陥るか、増長するか、という違いがあると思うんだ。

 あそこで、古代が"もう地球は大丈夫だ!"みたいな、どこかの国の映画にありそうな台詞を残していたら、話にずっと深みがなくなっていたと思う」

 『その結論は、深み、というより、多分、あなたたちの段階で達しうる最高の結論なのだと思うわ。分かっていると思うけれど、"愛"という結論に達するというところが、今のところのあなたたちの最も高いハードルではないかしら』

 「つまり、君のさっきの質問に戻ると、被害者が加害者を殺して、自分が加害者になる、という暴力の連鎖について、何か答えないといけないんだね」

 『ヤマトだと、宇宙の知らないところから、知らない爆弾が降ってくる訳だから、あなたたちにとっては、攻撃を受けている。被害者でもある。しかも、逃げることのできない暴力である、となったら、あなたはどうするか、ということよ』

 「難しい質問だね。人類が、君たちの似姿として誕生して以来、という言い方をするけど、それについて自信を持って答えられた人はいないんじゃないかな。

 というか、その問題に、自信を持って答えられた人がいたとすれば、それは、君たちの仲間か、それとも、危ない人なんじゃないかな。オレたちの国を搾取している国は、すぐ正義とかいいたがるけど、オレたちの国にいる人の多くは、そんな単純な答えをするとは思わないけど」

 『だから、あなたの答えは、どうなのか、と聴きたいのよ。別にわたしは、正解を求めている訳ではないわ。

 それに、前も言ったでしょ。すべての選択が最良の選択であると。その意味は感じてくれているみたいだけれども』

 「君の言うことは、一応は分かっているつもりだけど、自分に自信がなくてね。変な答えをして、君が相手にしてくれなくなったら、辛いな、って」

 『質問の答えにはなっていないかもしれないけれど、面白いことを言ったわ。

 あなたは、変な答えをしたら、わたしがあなたを相手にしなくなるのではないか、ということを怖れている訳ね』

 「これだけは自信を持って言えるけど、その通りなんだ」

 『わたしは、すべての選択は最良の選択、と言っても、そう感じてしまう訳よね』

 「うん」

 『最初の問題に戻ることになりそうね。同一化の問題。極めて形而上的な問題だけれど、あなたたちは、それを感情と併せて考える、というか、感じてしまう訳ね』

 「そこのところの話を、もう少し話して欲しいのだけど...」

 『同一化、ということについては、あなたはあなたのいる世界では、病気、として分類されてしまうかもしれないわね』

 「というと...」

 『あなたは、同一化されることに恐怖を持っているし、その体験があるから、他人を同一化して見ることも難しいのだと思うわ』

 「よく分かってくれるね。エールーエンは。

 そうなんだ。例えば、親から同一化されることは辛かった。親の好みの人形みたいに扱われるのは辛いからね。だから、他人にも、それはしてはいけない、と、自分で自分を戒めて生きてきた、というか、却ってそれで、自分を更に追い込んじゃったりした時期が長かった」

 『でも、ほ乳類は、特に自分が小さい時期は、親に依存して生きなければならないわね』

 「君たちの場合だと、親だけでなく、マスターが存在する訳だよね。好みの人形にするんではなくて、その子が持っているものを思い出させる、という役割の人がいるんだね」

 『よく覚えていてくれたわ。いま、マスターは、その子に、子供である自分自身を思い出させる、と言ってくれたわね。それで正しいわ。

 つまり、同一化、というのは、他人に対してではなく、まず、自分の中に対して同一化が図られる、という面があるのよ。あなたたちでいうと、自分を受け入れる、というのかしら。拡がりを感じる、といったらいいのかしら』

 「自分を受け入れるって、ウチらの星では、というか、ウチの国では、かなりハードルの高い問題だよ。

 話が少し戻るけど、さっきのガミラス滅亡の時に、古代が、子供の頃から、他人に勝つことばかり教え込まれてきた、と、ガミラスを滅ぼしたことについて、悔いていたでしょ」

 『ええ、覚えているわ。そして、負けた方はどうする、負けた方は、幸せになってはいけないのか、と意味のことを言っていたわね』

 「さっきの君の基本的な質問への答えの一部にもなるかも知れないんだけど、君の言い方なら多分、人間は、勝者に自己を同一化できるけれど、敗者に対してはそれが出来ず、排除する、という図式があると思うんだ」

 『それが、あなたたちの基本的な教育の図式ね。同一化していいのは、勝者に対してであって、敗者に対してでは"いけないとされている"のね』

 「そう。多分、君たちのマスターと、オレたちの教師とか、上司の決定的に違う点は、きっとその辺りにあるんだと思う。君のマスターのことを知らないから、君の人となりから想像して言っているだけなのだけど」

 『もうちょっと具体的に聴かせて欲しいわ。どんな"想像"かということをね。まさかあなたは、わたしたちのことをイスカンダルやスターシャと同一化して見ているのかしら?』

 「それは、ある面では否定しないけれど、君たちの方が遙かに進んだ精神を持っているのではないかと想像しているけどね。

 それで、マスターと、地球の教師や上司の違いだけれど、君たちのマスターは、わたしにあなたを同一化しなさい、とは絶対に言わないと思うんだよね。

 でも、地球の人間の親とか教師とか上司とか、最終的には、"立場が上である、勝者としての私たちに、あなたたちを同一化させなさい"って、言っているんじゃないかと思うんだ。その、君の言う、同一化、という言葉でもし表現するとしたらね」

 『あなたの見方は面白いわ。つまり、ただ、敬意を払えと親たちが要求しているだけではなくて、勝者としての自分=親たちを認めろ、と言われているのではないか、ということね』

 「だいたい、そんな意味なんだけど」

 『だいたい、というのは、ちょっと気になるけど、わたしは、もっと別なことが気になるわ。

 その考え方でいくと、あなたたちを創造した存在もそういう要求をしているんではないか、ということにたどり着くわね。

 困ったわね。責任を感じるわ。つくった側のわたしたちとしては』

 「君は、そんな、親とか人間とかを超越している訳だから、君が何か、わたしを尊敬しろ、とか言ってる様には思わないけど」

 『もちろん、そんなことは思っていないわ。

 ただ、あなたが、さっき、変な答えをいうと、わたしが相手にしなくなる、とあなたは怖れている、と言っていたわね。その意味で、ちょっと気になるの』

 「うーん。それは、もちろん、君が大切だし、でも、大切だとは思うけれど、君を大切にする仕方が分からなくて、君からその仕方を学びたいと思っていて、でも、君みたいになれそうもないって絶望してて...」

 『あなたは、ある意味で正直だわ。でも、わたしの様にはなれないから、大切にできない、などという気持ちになる必要はないのよ。そこで絶望しているとしたら、そのことが、わたしは辛いわ。あなたは、もっと顔を上にあげた方がいいわ。

 わたしと話しているだけで、充分に、あなたは、わたしのことを大切にできているわ。でも、話ができなくなったら、どうしようか、とあなたは怖れているのね』

 「うん。だから、そう言われると、オレが君に自分を同一化できない、って思っていることが絶望だよね」

 『だから言っているでしょう。あなたたちは、同一化、という基準で、相手や物事を判断している、ということに、問題があるのではないか、と言っているのよ。

 同一化する必要などない。あるのは、"在る"こと。そして、"あるがまま"であること。それをまた誤解する人たちもいる様だけれど、あなたは、違う意味で誤解するかもしれないわね。

 在る、ということが、あるがままでよければ、同一化を図ったり、同一化できないものを排除したり、あるいは、自分を受け入れられなくなったりという問題はなくなるわ。でも、そのことが、あなたたちには、理解しにくいのね』

 「変な言い方かもしれないけれど、ものごとには、上と下がある様な感覚を持っている、というか、そのどちらに自分がいるかで、自分を判断してしまう様な気がするんだ。さっきの古代進の台詞でいうと、人に勝つ様に教えられてきた、ことが、その根っこにあるのかもしれないけど」

 『ヤマトを観ていて不思議に感じるけど、宇宙空間に上と下がまるで決まっている様に描かれているわね。それに、爆弾も自由落下するし』

 「ああ、そのこと、オレが言いたかったんだけれど、君は本職だから、違和感があるんだろうね」

 『座標合わせをした方が、それは動きやすいと思うけれど、自分の内面の空間や、自分の世界の拡がりまで、一つの座標で規定することはないのよ。

 あなたの傾向としては、自分で自分の位置を規定したいのだと思うけれど、これはあなただけではなく、あなたの星の人たちの傾向でもあると思うわ

 きょうも、ヤマトで、アナライザーとモリ・ユキのやりとりがあったわね。あなたは少し泣いていた様だけど...』

 「確かに泣いていたけど、座標とアナライザーって、つまり、人間であるか、人間でないか、という座標ということ?」

 『そうよ。アナライザーが、人間の座標からみて、人間ではない、と認めたとき、あるいは、モリ・ユキのアナライザーに対する見方についても、同一化の問題なのだと思うわ』

 「それは難しい。ヤマトって、他者に対する理解の仕方が、だんだんな部分と、急激に受け入れる部分とあるから、森雪は、突如アナライザーを心を持った存在として理解するのだけれど、古代が助けに来ると、やはり自分は人間ではないのだ、という理解の仕方をするしかなくなる。残酷な話というか、君とオレには、アナライザーと森雪以上の開きがあるんじゃないかと、辛くなる話でもあるんだけれど」

 『そういう感覚で泣いているのね。それはわたしも悲しいわ。あなたは、わたしをも座標軸で測っているのよ。でも、それは、ある意味で少し傲慢だわ』

 「そうか、座標軸で測るって、世界をすべて、その基準で測るってことなんだ。それが、同一化の程度を示している、ということなんだね。それが傲慢ということなんだ。

 君にしかられて、同一化と座標軸のことが、繋がっていることが理解できたよ。叱ってくれてありがとう」

 『わたしを座標軸で測る必要はないのよ。ただ、あなたとは、在り方が違うということ。でも、わたしも、ヤマトを体験することができたわ。あなたたちの在り方が、かなり表現されている作品だったと思うわ』


 まだ話は続くのだが、体がもたないので、このあたりに。
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# by bwv1001 | 2012-05-03 04:43