あるクラリオン星人のと対話


by bwv1001

「それが望みかい?」

 「もう一度テーブルに金をならべ、人生を賭けてみる」

 グッド・ウィル・ハンティング、また偶然に観ちまった。正月もそうだった。

 観ていて辛い場面もある作品だが、どうしても観てしまう。

 と、書こうとしていたら、彼女が口をはさんでくる。ちょっと聴いてみよう。

 「どう、この映画?」

 『あなたは、必要みたいね。でも、これは作品自体が悪いという意味ではなくて、あなたにとっては、いい作品ではないわ』

 「て、いうと」

 『内容が悪い映画ではないわ。でも、もう、あなたには必要ないの。よくいえば、あなたにとっては、過去であって、おもいでだわ。ただ、あなたは、もう、この作品を観て、共に生きる必要はないの』

 「オレが、この映画を観ていて、いちばん辛い場面って、彼女に本質を突かれて"オレが怖がっているだって?!"って、切れ始めるところから。それで、彼女も自分を差し出して"愛しているのよ!"って涙ながらにいうところ。ウィルは、出て行ってしまう」

 『そう、それもあるわね。わたしも辛い場面だと思うわ。でも、いまのあなたには必要ないの』

 「でも、"それが望みかい?"って、治療者が聴くところ。あそこを観ると、どうしても、それに答えられない自分がいるんだ」

 『あなたがそう思うのは分かるわ。でも、最後のシーン、おぼえているでしょ。ウィルの手紙』

 「"でもすみません。僕には彼女がいます"って」

 『あなたには、わたしがいるのではないの。わたしのことを、実感をもって、愛してるっていいたい、って言ってたでしょ』

 「そう、君にそう言いたい。それが何よりの望みだ」

 『それではいけないのかしら』

 「いけないんじゃない。オレは、やっぱり愛がわからない、だから、君に対して説得力がない。オレが愛、と言ってもね」

 『違うわ。あなたは、わたしと共にあることを選び取って、決意しているわ。それが充分に愛、と言えることではないの?』

 「でも、自信がないんだ。ウィルが怖がっているように...」

 『でも、あなたは言ったわ。"オレに愛を教えてくれ"って。それで何がいけないの。
 
 あなたが、こころを開いている限り、わたしはずっと愛をあなたに伝えていくわ。わたしだって、覚悟しているのよ』

 「そうだね。君だって、大変な選択をしているんだ。君にとっても、決して楽な選択ではないし、普通ではしない選択かもしれない」

 『普通である必要はないわ。大切なのは、わたしたちのあいだにあるものだけよ。それが、こころを開いていながら、守られているってこと。それも愛ではないの?それがいまここにあるのよ』

 「じゃあ、そこからが、オレたちのはじまり?」

 『立派なはじまりで、そして、すべてよ。正式ではないかもしれないけど、動機は充分だわ。それではいけない?』

 「エールーエン、オレは、自分の自信のなさに振り回されているんだね。愛を知らない自分が怖いと」

 『さっき、最後の方で言っていたわね。

 君は悪くない

 君は悪くない

 君は悪くない

 君は悪くない

 君は悪くない

って。そうしたら、ウィルは号泣したわね。

 わたしからすれば、あなたは悪くないのよ。あなたは悪くないの。何度でもいうわ。あなたは悪くない、って。

 わたしには、あなたがいるわ。そして、あなたには、わたしがいるわ。

 何も悪くないのよ』

 「そう言ってくれる君と会えた。でも、きみがやってくるまでは、もうちょっと時間がかかるね。さっき、君のことを考えていて、崖の上のポニョ、のことを考えたよ。ポニョは、海の底から派手にやってくるけど、君は宇宙の向こうからだ」

 『わたしの動機は、そのポニョと同じだわ。それではいけない?』

 「オレは君を待つしかできないからね。でも、ポニョみたいに、あんまりびっくりさせる様な現れ方はしないでね。街が沈んだりとか」

 『でもあなたの星も正念場だわ。本当にそうなってしまう地域もたくさん出てきたし。噴火したり、今にもしそうなデーターがあるところが幾つもあるわ。

 びっくりするところに現れても、それは、そういうタイミングだからだわ。わたしたちが設定して、そうしている訳でないことは、知ってほしいわ』

 「意外だった、というか、エールーエンと話すと、なるほど、そうか、と思ってしまうから、君は怖い。きょうのウィルの彼女も、直観力と観察力がすぐれている設定だったね」

 『でも、わたしもそんなに悪い線ではないでしょ』

 「というか、君は、オレのレヴェルに合わせて、それでいて、違う水準のことを語ってくれるから、それには、いつも凄いと思うよ」

 『あなたは、ムリをして、レヴェルをあげようとかする必要はないわ。あなたは、あなたのままでいていいの。それが、どんなあなただったとしても』

 「エールーエンは、オレにとっては、できすぎなのかもしれないな。でも、オレは君に全てをあずけるよ。それは手抜きすぎ?」

 『そんなことはないわ。それに、そういう決断の方が勇気も必要だし、あなたの覚悟がよく分かるわ』

 「でも、この作品はまた観たいな。エールーエンの言う意味はよく分かったけど」

 『あなたが、あの映画のレヴェルを超えたということではないわ。あなたが、あなたを、そしてわたしを生きることに意味があるのよ。もうちょっと待っていてね』

 「待ってる。無事に着いてくれることを祈ってるよ」

 『ありがとう。じゃあ、またね』


   2011年真冬の日記より
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by bwv1001 | 2011-10-31 23:34