あるクラリオン星人のと対話


by bwv1001

ひさびさに対話で

 先日、ある方の足あとから、その方の日記を読んだのだが、「原発がかわいそう」という内容であった。

 非常に、奇異に感じる方もおいでのことと思うが、その中に、「原発は、風の谷のナウシカの(原作の)巨神兵と同じだ」ということが書かれてある。人間によって生み出され、そして、巨神兵によって世界は破滅するが、それは巨神兵が悪いのではない、という。

 巨神兵は、人間が造りだしたものであって、原発も同じであるという。原発自身にも、魂があって、こんなに原発のせいにされると、原発自身も収まりようがない、というのである。

 その日記を思い出しながら、きのう彼女と、話していたのである。再現できるか分からないが、途中から自然とライヴになると思う。


 「原発のはなしを聴いてもいい?」

 『それは、原発の問題だけではなく、人間という在り方を考えるのに、重要な話題だと思うわ。続けて』

 「君たちが自己の存在を考えるのに、"罪"っていう考え方はするの?」

 『あなたたちの在り様を知るのに、私たちについての話が必要、ということね。そこからでもいいわ。

 あなたは、この問題を考えるときに、罪、ということばが妥当かどうか分からない、ということを考えているのかしら?』

 「オレたちの多くが、ものごころつく前から、"罪"っていう言葉を刷り込まれている感じがあって、いまでは、"それは刷り込みだ"っていう意識はあるけど、やっぱりそれに洗脳されてるんだ。だから、原発の事故のことにしても、"誰に罪があるか"っていう風に考えてしまうんだ。

 罪ということは、おいておくとしても、"責任はどこにあるか"っていう考え方をする。でも、現時点に於いては、誰も責任を取るつもりはナイ、っていう態度が、露わになってくるんだよね」

 『あなたたちと、私たちは、その点では、全く違っているわ。私たちからすれば、少なくとも、責任は、あなたたちにあるのよ。

 確かに、政策を打ち出した人たち、計画を立てた人たち、設計をした人たち、施工をした人たち、運用をした人たち、利用をした人たち、さまざまな立場があるのは分かっているわ。

 でも、あなたたちの多くは、それに対して、きちんとした対応をしていなかったのではないの?

 例えば、あなたたちのルールでは、議員を選挙で選ぶ様になっているわね。でも、選挙にみんなちゃんと出かけている訳ではないでしょ。私たちからすると、そのこと自体が信じられないけど、あなたたちのルールからすれば、選挙に出かけない、というのは、責任放棄の表明である訳よね』

 「それは確かにそう思う。オレだって、選挙にはいくけど、投票したい、っていう候補者が存在しない場合がほとんどだよね。だから、仕方なく、当選して欲しくない人に対する批判票に結びつく様な候補者に入れたりしているのが実情なんだけど」

 『でも、それはおかしいと思わない?選挙に行ったとしても、あなたは最初からあきらめている訳よね。"入れる人がいない"って』

 「うん」

 『投票した人は、投票された人の意見を認めている、ということになる訳よね。あなたたちのルールでは』

 「実際には、全面的に認めている訳ではないけど、最初からあきらめている、っていうのは、認めざるを得ないな」

 『でも、それって、欺瞞でしょ?』

 「厳しく言われるとそうなんだけど」

 『だったら、入れた議員のことを、信頼していないってことよね』

 「うん」

 『あなたたちの普段がそうだとしたら、間違っていることがあるわ。それは、あなたたちの実情にそぐわない制度を認めている、ということになるわ。

 そして、制度に基づくのであれば、あなたがどうして立候補しないの?』

 「オレが立候補?」

 『そうよ。だって、自分の考えと合う人がいないのに、いい加減に投票するとしたら、あなた自身が選択肢そのものになればいいじゃない』

 「そんなこといわれても...」

 『まあ、分かるわ。ただ、あなたたちのルールとその精神に照らして言えば、それが正論ではないの、ということが言いたかったの。分かる?』

 「あいかわらず厳しいね。でも、オレが代表になるとしたら、オレ自身の代表にしかなれないよ。それに、オレが議員なんて、考えられないし、議員なんて仕事はやりたくないよ」

 『いま、いいことを言ったわ。"オレ自身の代表にしかなれない"って。それが、本来の在り方でしょ。あなたは、あなた自身の代表であれば、それでいいと思わない?』

 「でも、オレ自身の代表になるのも難しいよ。だって、君と話していて、やっと分かってくる自分、というものがいくらもある訳だし」

 『またいいことを言ったわ。"君と話していて、やっと分かってくる自分"というものがいるって。

 それが本来の話し合い、ということではないの。他者を理解する前に、話し合いで、自分が分かってくる、というのは大切なことだと思わない?』

 「それは、君とはそれでいいけど、議員同士とか、議院のやりとりがそれじゃ、どうにもならないよ」

 『どうにもならないって?』

 「議題も進展しないし、政治にはならない。予算の執行だってできないよ、多分...」

 『そうかもしれないわね。あなたたちが、今のままなら』

 「その、いまのまま、だとどうにもならないところに、君が来てくれた訳だけど、君と話していると、どうにもならない、のではないかもしれないと思うんだ」

 『それは、あなたの個人的な在り方について?それとも、もっと大きな世界のことを言っているのかしら?』

 「少なくとも、オレについてだけではない、と思うんだよね」

 『じゃあ、言わせてもらうわ。あなたが、あなた自身の代表である、というのは、とても大切なことだわ。としたら、あなたは、あなた自身のことについて、責任をとることができる訳よね』

 「オレ自身が、オレの代表だとしたら、理屈としてはそうなるけど」

 『歯切れが悪いわね。つまり、あなたは、あなたである限りに於いて、あなたは自由なのよ。ヘンなことを考えて、その気もない候補者に投票する必要はないのよ』

 「それは、制度を変えるって意味?」

 『そういうことではないわ。確かに、あなたたちのシステムは、制度疲労を起こしているとは思うけれど、そのことより、"自分は自分自身の代表である"という意識を、一人一人が持ったら、確実にあなたの世界は変わると思うわ。そのことで、あなたたちは、今までになかった自由を体験するとは思わない?』

 「それは、一人一人が、オレと君みたいに話すってこと?」

 『それもあるけれど、まだ、あなたたちはその段階ではないわ。それでも、一人一人が責任を持ったら、それで自由、というのは、本来のあなたたちの制度の理想になっていないか、ということよ。

 つまり、あなたたちは、あなたたちが自由になる制度は持っているけど、責任を果たすという意味が分からないから、世界との関係も分からなくなっているのよ。

 わたしは、あなたたちの制度が最高だとは、全く思っていないわ。ただ、あなたたちは、自由と責任というせっかくの考え方をしておきながら、その実現にすら至っていない、というのは、どういうことか、ということよ』

 「確かに、民主主義というもののもともとの精神でいえば、自分で自分の責任をとれること、が自由である、という訳だけど」

 『そこで、話は戻るけど、あなたは最初に、原発の問題で"罪"という話をしていたわよね。それをたたき台にしたかったんじゃないの?』

 「うん。実のところ、オレは、というか、そういう人は多いんだと思うけど、責任と"罪"ってまるで同じ様に考えて、というか、感じている人って多いと思うんだよね」

 『続けて...』

 「責任と罪、って、本来別なものだと思うんだけど。責任って、なんか過剰な取らされ方をするというか、取れない責任まで取らされるっていうか、だから、怖い。

 国によっては、謝らなければ、責任を取らないで済むみたいに思っている人たちが大勢いるみたいだし。責任を取るのも怖いけど、責任を取ってくれないことも怖い訳だよね。

 今度の原発だってそうでしょ。会社や政府の責任もあるけど、責任を取れない様な事業をやってしまって、専門家からすると、当然起こりうる事態なのに、想定外、とか言って、いきなり無責任になっちゃうんだ」

 『あなたは、あなたの日常と、原発事故とを重ね合わせて考えているという訳ね』

 「そう。でも、原発となると、本当に責任の取り様がない。前のお金の話をしたけれど、お金で土地や海や生き物がもとに戻るわけじゃないもの。いくらお金を払っても、手を尽くしても、本当に責任が取れない」

 『つまり、あなたたちは、本来責任の取れないものに手を染めた、というのね』

 「そうだと思う。少なくも、責任の取り様のある技術を開発してからでないと、やってはいけなかったと思う。あるいは、やるにも、やり方が悪かった。誰も責任を取れない様な事態になってしまったんだ。こんな地震や災害が多い国で、何でこんなことを始めたかって...」

 『あなたの言うことは分かるわ。でも、大切な視点が抜けていない?』

 「というと...」

 『つまり、責任の取り様というのは、技術で補完できるものか、ということよ。そこに、すでにあなたたちのおごりがないかしら?』

 「確かに、原子力の技術は、実験がないとデーターも採れないし、採ったデーターで、補完する方法を考えていかないといけないし、そこが皮肉なところなのだけど」

 『そういうことではないわ。責任の取り方、というのは、どういうことか、という視点が抜けているわ。それは、原子力の技術という意味ではないわ。さっき話したことの、"自分が自分の代表になる"ということの続きよ』

 「どんな風に...」

 『自分で責任を取る、ということを発展させて考えるのよ。それは、もうわたしたちの世界の話になってしまうけれど。

 せっかくあなたは、例の発音の難しい方法の実験をしているのに、分からないのかしら』

 「ああ、発音が難しいのは、ホ・オポノポノ」

 『あの本に書いてあるでしょ。宇宙ができる前からの記憶をクリーニングする、と。ということは、全責任は自分にある、と』

 「難しいけど、君と会ったとき、空洞という実感をもって、その感じは分からなくはないんだけど...」

 『自分の責任を取る、ということは、自分が自由である、ということになる、というのが、あなたたちの民主主義だったわよね。実態はさっき聴いたけれど。

 ということは、宇宙の全てが自分の責任であったとしたら、あなたは、すべて自由、あるいは、あなたの言葉では、空洞、になるのではないかしら?』

 「そう。理屈としては分かるし、イメージも分かるんだ。

 ところが、あの原発事故、というか、原発事件を目の当たりにしてしまうと、何も意味がなくなってしまう感じがして、絶望してしまうんだ」

 『それは分かるわ。日常の意味もなくなってしまう、ということね。そして、そのことに、それから、巻き込まれた人たちに、何もできないあなたがいる、とあなたは感じている訳ね』

 「うん」

 『少し話は変わるけど、あなたは、さっき、あの大江戸線の中で、ホ・オポノポノをどう訳していいか、と考えていたわよね。そのことをここで話してみない?』

 「つまり、ホ・オポノポノという名前は、英語の正式な名前は、self identity through hooponoponoだから、名前の翻訳が難しくて。少し意訳すれば、"ホ・オポノポノという方法で、自分の在り方を見つける"、とでも言ったらいいんだろうか」

 『そうね。あなたはそう考えていたわ。それが誤訳であるか、名訳であるかは分からないけど。

 でも、悪くないのは、"自分の在り方を見つける"、ということよ。それは悪い訳ではないのではないかしら。

 つまり、その方法が主張しているのは、自分の在り方を見つける、ということは、全責任を取る、ということだわ。

 原発事件の補償や復興のことは、もちろん大切だわ。そして、あなたたちの社会の約束の範囲で、責任の所在をはっきりさせるのも必要だわ。

 けれど、こんなときだからこそ、自分が自分の責任を取る、そして、自分が全責任を取る、という考え方を一人一人がしないと、これからのあなたたちの在り方を、日常を意味のあるものとして取り戻すことは難しいのではないかしら。それくらい、今度の原発事件の問題は大きな問題よ。

 あなたたちは、制度的な意味でも、原発について、一人一人は積極的ではなかったのではないかしら。こんなに、50以上もあなたの国には原発がある、というのは、その結果ではないの?』

 「君のいうことが分かってきたよ。君のことばで言う"否認の問題が、人類の最大の病だ"、ということだね」

 『そう。一人一人が自分自身の代表であることを、多くの人が降りてしまっているのではないかしら。原発の問題は、多くの人が、あなたたちの国では危険だ、という意識は持っていた筈なのにね。

 それに、原発を建てるのは、たいてい過疎地だったり、建てるときにも、ウソがあったり、手抜き工事もあったり、設計以前の思想が間違っていたりしたのだから、"否認"よりも低次元の話かもしれないわね。それこそ、あなたの言う、"罪"に当たるのではないのかしら』

 「ごめん、エールーエン。低次元な話になってしまって」

 『低次元かどうかは分からないわ。けれど、それがあなたたちの現実であることは、否認しないで欲しいわ。

 それから、責任の取り方、ということの意味を、社会のルールという意味ではなく、あなたたちの存在する意味から考えて欲しいと思っているの』

 「これは、また続きが必要かもしれないけど、原発の魂そのものってあるんだろうか?」

 『わたしたちは、わたしたちが造りだしたものにも、生命や魂があると思っているわ。あなたたちには、その技術や精神がない様だけど、原発の気持ちも考えてあげないと、と言った人の日記は貴重だと思うわ。

 もちろん、その話と同時に、あなたたちの責任の取り方とは何か、を考える、ということも大切だわ。これは原発の話だけではないの。何度もいうけど、あなたたちの存在の、魂の問題よ。

 だから、少なくとも、繊細な問題で、あなたたちには、まだ困難が多いかもしれない。でも、この原発のことで、あなたたちは、そのことを考えなければいけないことになったのだわ。今までが手抜きが多すぎたのも問題だけれど、いま、ここで、考えないと、あなたたちの星のゆくえにも関わってくるの。

 わたしたちは、それを見ているわ。ただ、時間がないの。

 あなたは、震災と原発で2012年のことを実感したのね』

 「そう。君が言っている通りだった。そして、オレは生き残ってしまったんだ」

 『あなたが生き残ったのは、それこそ罪ではないわ。亡くなった人たちもたくさんいるけれど、あなたの言う、罪、ではないの。

 ただ、生き残った人たちには、さっきの責任についての考え方を知ってほしいと願うわ』

 「これはまだ続きが必要な話だね。オレもその責任をどう実感できるのか...」

 『それは違うわ。わたしたちの考えは、さっきの意味では、実感する必要はないの。あなたの知った空洞、あるいは空、という在り方を追究していくことをすすめるわ。あなたは具体的な方法も実験しているし、大切なことだと思うわ』


 という様な対話がエールーエンと続くのであるが、今はこれで材料出尽くしである。字数も超えているかもしれない。


   2011年3月11日以降の日記より
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by bwv1001 | 2012-01-07 23:10