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あるクラリオン星人のと対話


by bwv1001

知人が読んだ本を読んでみた

 知人の日記を通じて、存在を知ったのが、「未来予測 コルマンインデックスで見えた 日本と経済はこうなる」という本である。図書館にあったので借りてみた。

 コルマン、というのは、日本では、コールマンという表記をされる本があるのだが、マヤ歴の2012年問題のコールマン氏のことである。

 通読したのだが、大げさにいえば、オレが四半世紀以上たまに調べたり、結構考えたり、あるいはからださんにもつきあってもらって実践したりすることと、モロにかぶる本だった。2012年問題とか、マヤ歴とかは、ごく最近意識したり調べたりしたことだが、意識の進化とか、左脳偏重とか、太陽と地球の関係とか、経済と太陽の関係とか、「ああ、今になってセットで言われる様になったのか」という感じであった。

 オレが調べたり、実験したり、というよりは、「こういう時代に生きてきた人間なんだな」という方が正しいかもしれない。あるいは、「オレは時代に洗脳されてきただけなのかもしれない」とも思った。

 経済と社会システムの変化と予測、がテーマとなっているのだが、それがテーマであるのか、それについての目のつけどころが独特なのかもしれない。ちなみに、序文・推薦・解説として登場しているのは、オカルト経営コンサルタントとも言われる船井幸雄氏である。どれほど、著者の書き方に対して口を出したのかは知らないが、経済の本としては、異色の本かもしれない。

 内容について疑問があるとすると、太陽が社会システムや歴史に影響する、ということを書いている割には、惑星Xに関する記述が一つもない、という点で非常に不満であった。それを言い出すと、話がややこしくなる、ということかも知れない。しかし、それについての言及がないとなると、自分に限っては、説得力のない本である。

 終盤で、占星術師の未来予測も引き合いにしているから、惑星Xの話は、出すだけでやっかいなのかもしれない。

 ただ、これは読んだ価値があった、と思うのは、304頁からの「ジョセフ・スタック自殺宣言」という遺書の転載である。日本の国税庁にあたる機関の建物に神風特攻をやった人物の遺書である。米国の多くの市民の、政府や金融機関や搾取する階層に対する怒りとなって表現されたのが、この特攻らしい。

 これが、まじめに生きてきた一人の米国人の本音であり、多くの市民に支持された遺書であるという。しかし、この遺書が書かれたHPは、事件後すぐに処理されたそうだ。

 文章は読みやすいのだが、よく考えてみると、何を主張したいのかよく分からないという本である。それは、ひょっとしたら、この本の責任ではなく、発刊されたのが2010年の8月末日であるからかもしれない。今となっては、ここに書かれている情報は意味がないのかもしれない。

 それでいて、まとまっている本というところが、不思議なところである。未来予測とは、陳腐なものになってしまいがちな分野であると思うが、予測をした本というよりは、予測の材料を編集して提供することに出版の意図があったのかもしれない。

 妙な言い方をすると、自分の物語を書くのが不得手な人のために書かれた本の様にも見える。シナリオだけがあって、結論を未来と読者にゆだねている、という点では、反則技の本とも見える。その点に、存在理由がある本なのかもしれない。

 著者の主体性が分からぬまま、読者は確保しようとしている点が、日本的といえば日本的かもしれない。高島康司という人の本である。


   2011年3月11日以降の日記より
by bwv1001 | 2012-04-14 23:46